施設の入所が現実のものとなって、妻は一安心。
自身の身体に現実はある。
手術の跡が、しっかりと残っている。
ところが、入院日を覚えているのに、どうやって来たか?
検査入院2泊3日が、緊急手術で1ヶ月半も入院?
痛みに身をよじった日々が ”消えた”。
術後、手術跡の痛みの箇所を押さえ込んで、我慢したこと ”消えた”。
酸素マスクがじゃまで、何度もはずしたことが ”消えた”。
痛み止めの点滴でえずき、注射に変更したが、痛みが続いたことが 、”消えた”。
「こんな思いをしてまで、生きて居たくない。」のつぶやきが ”消えた”。
痛みと苦悩の2週間が、記憶に無い。
ひとは、あまりにも辛いとか・・・痛いとか、悲しいとかの
マイナス感情は忘れることが出来るのか?
頭の片隅に押しやるのか?
妻の記憶は、今から始まる?
2週間は、すっかり飛んだ。