癖の強さがクセになる、泥臭さと世界観と、筆致のくせがわたしに引っかかって来る。
今野 敏著‥‥‥「脈動」
これは単なるミステリーではなく、和の国のファンタジーを想わせてくれる。
いつもの著者の作風とは異なり、それでも魅かれる世界が広がる。
シリーズ化しているので、順を追って読み進めたい。
「鬼龍」「陰陽」「憑物」「豹変」「呪護」そして「脈動」
活躍する「鬼龍浩一」が
わたしの中で長身痩躯、怜悧で端正な顔立ちの青年に仕上がっていく‥‥(*´艸`*)
これが、同じ警察を舞台にした作品?
おとなのエッセンスと共に、ワクワクする世界観がある。
「陰陽師」が実在している事も合わせて、摩訶不思議な世界。
「言霊」はあると信じるし、結界なるものもある気がする。微妙な現実感との背中合わせが、現実の世界観しか持ち合わせない登場人物との掛け合いで、コミカルにも描かれ‥‥‥‥秋の夜長を楽しませてくれる。
「陰陽師」の歴史的背景と、格差社会は、案外社会秩序を保っていくにはメリットが多いかもと思いつつ‥‥‥これも、トップを司る人間の器で、どうにでも変化するわけだから、悩ましい。
次々に舞い込むニュースの紛争が「陰陽師」によって解決できればと、子供のような妄想に浸ってしまった。
生れてきて選択肢のない人生は、あってはならない。