人生後半、遊び人

食べて飲んで、好奇心のまま動き回ることが大好き。

「あのしょ(あの人)の、ご飯は高級だ!」

92歳の母の、6月のサポート記録(5)

 

同室の面会者と毎回雑談を交わす。

「うちのおばあちゃん(彼女の母親)が、お母さん(わたしの母)の食事が

朝は鮭が出ていたし、昼は生ハムみたいなもんを食べていたて。

わたしは、菜っ葉ばっかだって言ってたの。

あのしょ(あの人)の食事は、わたしより高級食材だて!って羨ましがって

ました(笑)」

 

笑いが止まらなかった!

わたしの母も、

「あのしょ(あの人)は、でっかい梅干しを一口で美味しそうに食べてるて。

素麺も出ているし、塩分制限がねえんだかのう。色んなもんが出て、いいのう。」

 

お互いに、出てくる食事を、向かい合わせで想像しながら

羨ましがっていた!(笑)

まさに、隣の芝生は青く見えるたわけだ。

 

そして母はといえば、わたしの持参したアイスクリームをぱくつく。

「舅も入院中の死に際にアイスクリームが食べたい言って、食べた翌日に

亡くなったて。おれも、これでもうすぐだの。」

 

‥‥‥‥いや、まだだわ(笑)、アイスクリームの前にオレンジも食べてるし‥‥‥‥

 

「なんだか、今日は昨日より具合が良さそうだね。」

「そうなんだて、良くなっちゃダメなんだけどのう。」

これまた笑いこけた。

笑いながら、点滴による薬の効果で症状が落ち着いてきたとはいえ、

毎回入院の度に連日面会しているわたしには、その回復加減の変化が解る。

 

顔色とか顔つきとか、全てが、衰えている。

言葉にするなら、小康状態にも達しないささやかな落ち着き?

 

穏やかに過ごすことで、穏やかにその時を迎えられるのだろうか?

ここまでくると、別れの時がいつ来ても、

「お疲れ様」と、静かに言える気がしてくる。