身近に、自分の葬儀の予約をした人物がいる。
一人は亡くなった。彼女は、肺がんの末期を宣告されて1週間足らずのときにわたしに会いに来た。
学生時代たぶん一番時間をともに過ごしたと思う。就職してからも連絡は途絶えず、結婚してからは年賀状のお付き合いになっていた。それがいきなり、会いたいといってご主人の運転で、娘さんも同行してわたしの住む街にやってきた。
末期がんを宣告されて、一番会いたくなったと言われて、わたしは何をどう答えたら良いのか頭を抱えてしまった。会うのは20年余り経っている。それだけでも会話がないというのに、いったい何を話題にしたら良いのか・・・が、彼女は、現状をありのままに語ってくれた。今、全く信じられない状況であること。治療に専念するために、アルバイト(ストレス解消を兼ねたお小遣い稼ぎ)をやめて、一番会いたくなったわたしのところにやって来たと。
確かに見た目はなんら変わりなく、もうすぐ50代には見えない若さ。ただ、咳だけは今まで聴いたことがない音だった。家族は気がつかなかったのと、少々腹立たしかった。
末期(ステージ4)で、一年後に連絡があったときは、怖かった。最期かと。
2年後の連絡のときは、わたしが出向くことになった。
骨に皮が張り付いている。抗がん剤で髪が無い。つらかった。
それなのに彼女、「末期と言われて3年も生きられたよ。もう終わりが近づいている。
このあいだ、葬儀屋さんでお葬式のコースを決めてきたんだ。さすがに、日にちを
予約できなかったけどね。あとは、息子が変な女にだまされないように、しっかり
念を押すだけかな。」
晴れやかに淡々と・・・「死ぬのは恐いけどね。」と付け加えて。
半年後に逝った。
もう一人、81歳の叔母。ご主人はいるが、子供がいない。70代後半のときに墓じまいをして、
ついでに夫婦で亡くなった時の合同墓の埋葬の対応を取り決め、すでに支払い済みだという。
覚悟とか、対応がわたしにも勉強になる。さて、どうしようか。 続