「悪医」‥‥‥タイトルに魅かれ、著者を確認して選択。
「悪医」は、造語?「悪意」に転ずる?
医療系の小説は、興味深い。それも著者が医師(久坂部 羊氏)ならば尚更、気に掛かる。
聖職の一つともいわれ、常に社会問題を引き起こすリスクを抱えたお仕事。
それぞれの分野が、多岐にわたり、それゆえに担当分野が異なると、素人から見たら単純なことを見落とされることもある。
母の場合、勘違いで「外科」を受診したがために、「帯状疱疹」と判明するのに4日間を要してしまい、薬が効かず‥‥‥そもそも高齢だったこともあり、十数年たっても、痛みと痺れに苦しんでいる。
患者側からの不平不満なら、よく耳にする。
この本は、医師の立場からの赤裸々な言葉も、響く。
立場が変わると、こんなにも誤解が生じ、殺意さえ生まれる。
「末期がん」の対応にも、立場だけでなく、願いは患者の数だけ異なる。
治療を続けることで、副作用に苦しみ、日常生活が出来なくなるだけでなく寿命を短くするから、治療を中止し、通常の日常生活を送りながら、痛みに対処することが医師の良心かと思いきや‥‥‥‥
患者は、見捨てられたと‥‥‥どんな状況になろうと、最期まで戦いたいと望む患者の本音もある。
正解などない。
ゆっくりとコミュニケーションを重ねることで、お互いの信頼関係が、正解を生み出す。
どこの病院も、待たされるのが常態の社会で、どこまで向き合えるのか?
「悪医」は、立場が変われば、対象となる医師が違って来る。
尽きる事のない問題提起に、唸るしかない。