おぞましさに抗えず、なのに読み続けずにはいられなかった。
遠田 潤子 著‥‥‥‥「イオカステの揺籃」
登場人物の一人一人の立場から考えたら、その人物の言動に頷くことが出来る。
育った家庭環境が、人を形作った‥‥‥
イオカステの物語になぞらえて、予言のままに墜ちていく‥‥‥
昨今騒がせた宗教によるマインドコントロールが頭に浮かぶ。
と同時に、親の影響力の大きさが、怖いくらいに伝わる。
母親の存在の大きさにもぎょっとした。
わたしの母はわたしの幸せを願うと言いつつ、安泰ならば
「お前なんか、のんきでいいこて!」と嫌味を言い‥‥‥
夫の愚痴を言うと
「そんがなもんだて!」とほくそ笑んでいた。
わたしの幸せを願いつつ、自分よりも幸せそうだと妬むことの繰り返し‥‥‥
物語は、主人公の美しく上品で慈愛に満ちたかのように見える母親の異常行動を
クローズアップしつつ、そこに至る彼女の家庭環境や彼女の母親像が描写され、
取り巻く人墜ちていくいく様が描かれている。
「おぞましさ」が、連鎖していく中、
救いの手を差し伸べても、救われない事もある。
既に三十路を迎えているわたしの娘と息子に、過干渉に陥る事無く、
暖かい眼を向けていたいが‥‥‥その手加減が未だに掴めない。
世界中で繰り広げられる「負」の「おぞましい」連鎖の中で、
真っ白な世界など、有るわけがない。
プーチン露大統領の生立ちが気になった。