山下紘加著‥‥‥「あくてい」
あくてい‥‥‥悪態、と気づき、どんな悪態が繰り広げられるのか?
しかも、著者はわたしの子供世代。
一気読みになってしまった。アラ還のわたしの眼には、宜しくない。
何につく悪態か?親?友人?社会?
モヤモヤは、全般に及ぶ。
一気に読んでしまったのは、内容のスピード感もあるが‥‥‥
主人公の90歳の祖母を、介護する母親。
今のわたしの状況に類似していた。
90歳は、まさにこんな感じ!
ー 勝ち気でプライドが高いくせに、卑屈なばばあは、自分が無知で無学で無教養なことを、社会や環境のせいにして生きてきた。ー(本文より)
わたしの母と、一緒!
わたしの母の場合、自分を卑下しつつ相手にその否定を求める。
自分の不幸は全て戦争と夫(わたしの父)のせいにしている。
この祖母は、母親の母親ではなく、離婚した父親の母親。
姑が息子と離婚した女性に心を許し(?)甘え切って(?)同居し、崩れていく。
ばばあと叫ぶのは主人公の心の中だけで、「あくてい」をつきながら、
祖母に向かって叫ばれることは無い。
彼女の優しさも、正義も、もやもやもの現実の中で「あくてい」が必須に思えてくる。
祖母と孫の「あくてい」のキャッチボールが、決して真っ黒ではなく、
”愛情” が存在することも、うかがわせる。
わかる。わたしも、91歳の母のうざったさもあったかさも感じる。
母も感じている実感がある。
そして、見えていないようで、終わりは来る。