92歳の母、8月のサポート記録(1)
先月は、まだ青々としていた稲が、首を垂れて、見渡す限り秋景色。
既に早生品種の稲刈りも始まっていた。
8月も終盤なのに、秋らしさは、田んぼだけ!
車から降りたら「熱風」!
しかも、雨がほとんど降っておらず、実家の庭は「除草剤」が溶け切らずに残り、
雑草が元気よく繁っている。
一月振りに会う母。
表情が‥‥‥真っ暗⁈に近い。
「○○さん(母の友人)、明後日に会えるようにしたからね。」
「まぁ、そうだか。」
持参したお菓子は、おしゃれなパッケージで小さなチョコレートのクッキーが小分けで入っている。母は、ハイカラでお洒落なものに目が無い。
早々に、開けようと頑張る。
「取り出しやすいように、袋を開けておくけど、ここでは食べられないよ。」
「そう言わんで、開けてくれや。」
「いや、決まりだから。」
傍らの注意事項が書かれたカードを見せる。
不服そうに諦めるが、楽しみが全く無い事を物語っている。
「このまんま死ぬまでここに居るんだこてのう。」
「ここで、葬式出してくれるんだかのう。」
呟くように不安を口にする。
いざとなったら入りたいと言っていた施設に入所して、今が「いざという時」を
自覚し始めたのかもしれない。
応える言葉もなく、
「ご飯は食べている?」
「おかゆをこんだけぐらいだの。」手で示す量は、ほんのわずか。
「おかずは、色々あるけど、おれの口には合わんの。」
「アーモンド味の豆乳とか、麩菓子のふうちゃんなら食べたくない?」
「お~そ~だの。」
「ここのしょ(人)も忙しいからしょうがねえけど、
ご飯の時、一人で食べらんねぇもん(人)を、一人で二人の面倒見ているけどのぅ。
まぁ、まだ飲み込まんうちからスプーンで突っ込むから、こぼれるこてね。」
「そばで見てて、もうちっとゆっくり食べさしてくれなんか、言わんねえこての。」
相変わらず、周囲の気ぜわしさにモヤモヤを抱え込んで、気を揉んでいる。
これは、性分とはいえ、少々切ない。
豆乳と麩菓子のふうちゃんを差し入れると約束して、15分の面会終了。