人生後半、遊び人

食べて飲んで、好奇心のまま動き回ることが大好き。

親が壊れる・・・

父は20年余り前に亡くなった。
66歳だった。が、その約10年前から壊れ始めていた。

 仕事が思い通りに行かなくなると、
自信は跡形もなく崩れていき、
意欲など元々持ち合わせていなかった人に変わり果てた。
まだ、40代の後半だったかと思う。

 わたしが、学校から帰ってくるとテレビを眺めている状況から電気をつけずに暗い中、テレビもつけずにぼんやりしている日が増えていった。
 気持ち悪かった。

 家を出て、結婚して帰省しても言葉を交わすことなどなく、父のぼんやりを確認するだけ。
そして、定位置に根が生えたかのようにぼんやりと寝転がる日々。

      壊れた。

人は、自信をなくしプライドが保てなくなると自分を守ろうとするのだろうか。
動かないから、筋力は徐々に、速度を増して衰えた。60代の父が80代に見えた。ぼんやりが、
ぼお~とした状態になり
 自我を忘れることで苦しみから逃れていたのか、
   心が崩壊していった。


 当時古いタイプのお風呂は、水を適量ためて温度も確認しながら沸かした。
わたしが、実家出産で帰宅していたとき、父は、お風呂を沸騰させていた。
いきなり障子張りをすると言って、出刃包丁で障子をザクザクつき始めた。
「じゃあ帰るから」と言って、自宅から出かけて行った。(どこへ?)

 反面教師だったのか、わたしはじっとしていられない。好奇心をなだめられない。  続