新婚のころ、アフリカに住んでいた。
庭に鶏を放し飼いにして、有精卵を食べていた。
キッチンの流しの前は庭を眺めることができ、その窓のさんに雌鳥が飛び乗り、わたしの目の前で
”出産”
しずくのように、中身が丸く陰のある白い液体がスルンと窓のさんに落ちた!いまさわったら、やわらかい???あわてて外に出てその卵をつかんだが暖かいけれどしっかりと卵の硬さになっていた。
感動しつつ昼の卵かけご飯でいただいた。
どこの社会でも集団に君臨する”やつ”がいる。
このテニスコート三面分の庭に放し飼いになっている鶏も同様に”やつ”の存在があり、なんとわたしが庭に出ても飛び掛ってくる。つねに、庭に出るときは、身長ほどある庭箒を片手に威嚇していないと危ない。ただ、”やつ”は門を覗いたり、入ってこようとする人間に対してもここは俺の縄張りだと主張するのだろう。番犬並みかそれ以上の働きをしていた。
卵は産むところが決まっていないので、たまに孵化することがある。しかも、わたしはその孵化の場面に出くわして、ぴいぴいと後ろを付きまとわれることになった。アフリカとはいえ、夜は寒いときもあり、また危険でもあるのでしかたなくリビングを提供した。
そして悲劇は起きる。
ふんずけてしまった!!! 。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
妊娠中のわたしは、おなかの子に呪いがかかる!!とダンナ君に言ったところ、彼は庭にひよこを埋めて線香をあげた。二人で数珠を持ち出して、冥福(呪わないで)を祈った。そう、彼は優しい。今思えば馬鹿馬鹿しい事で、わたしの気持ちを落ち着かせるための行動だろう。が、なぜ線香をこの地まで?(ちなみに、数珠があるのは、お寺で結婚式を挙げ、数珠の交換をしたため)
彼は優しいのだが、ピンとはずれでたびたびわたしの地雷を踏んでいる。そのつど痛手を負っているようだ。
そして例の”やつ”は、世代交代が近づく中、次の”やつ”に虐められているのか、ヨレヨレになっていた。このままだと、殺されてしまうので、クリスマスに頂いた。そのたたり?なのか、その夜ダンナ君と大喧嘩。まったく原因は覚えていない。 続